森に生きる

2023年06月12日

実にありふれた、ありきたりな、どこにでもあるような、どこかで見たような話。

けれど別に、環境破壊ダメ、ぜったい。なんて大層なメッセージを伝えたかったわけでもなく。

ある日、近所の売地に大きな機械が立っていた。地盤調査だ。

それからすぐにマンション建設予定地の看板が立った。

あぁ、マンションが建つのか。工事の音うるさいな。思うのはただそれだけ。

まったく興味のない工事は見慣れてしまえば容易く日常の中に溶けて消え、目の前を通ろうとも何一つ気に留めることもい。

なんだか今日は雲行きが怪しいな、と空を見上げた時にふと、おや?と思う。

作りかけの建物はすでに隣のアパートの高さを優に通り越して、大きさも重さも人間とは比べ物にならないような鉄骨を重機で持ち上げ、さらに高く積み上げようとしている。

人間ってすごいな。

重機と鉄骨の迫力に純粋にそう思った。

それからまたしばらくして、工事現場のバリケードがはずされた。

もう完成したのか。

実際の工期はどれくらいか分からないし、当時自分自身が忙殺されて時の流れを正確に判断できなかっただけかもしれない。

けれど、私の中では本当に、まさしく、あっという間に、その建ってしまったのである。

人間ってすごいな。

だからこの話は、おとぎ話でもアンチテーゼでもなんでもない。

街中で生きる私の「人間ってすごいなと思いました」という、ただの日記だ。


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